シュレッシュレnullック』

記念すべき第1回アカデミーアニメ作品賞に輝いたこの映画は、ディズニーを追われたジェフリー・カッツェンバーグがスティーブン・スピルバーグの助力でディズニーに対する執念と怨念だけで作り上げたような作品です. だからこそ、映画のあちらこちらに散りばめられたアンチ・ディズニーテイストがめちゃおもしろいんですよね. 何も分かっていない子供が見るよりも、ハリウッドの裏事情を知っている大人の映画ファンの方が何十倍も楽しめる要素が満載だったと思います. そもそも緑色の怪物が主人公というこの映画. アメリカで緑色の怪物と言えば『ハルク』や『グリンチ』などブサイクを代表するようなキャラばかり. しかもこの怪物が綺麗な人間のお姫様と恋に落ちるという設定はまんま『美女と野獣』をパロってますよね. 加えて『美女と野獣』では魔法が解けると野獣が王子様に変身しますが、この映画は逆に綺麗なお姫様がブサイクな怪物になるというところが「アンチ・ディズニー」でいい感じでしたので、私はかなり好きですね. またディズニー映画でお馴染みのキャラを徹底的に「大人的な」いじり方で遊んでいるところにも何とも言えない面白さがあります. 例えばディズニーの誰もが知っている3匹の子豚などのおとぎの国のキャラクターを強制的に監禁したり、白雪姫やシンデレラをミスコン風に紹介したり、挙句の果てにはピノッキオをディズニーが最も嫌う下ネタでいじったりと、まさにやりたい放題. ジェフリー・カッツェンバーグのディズニーに対する恨み辛みの深さを大いに感じましたよ. その他にも退治するはずのドラゴンがロバのドンキーの惚れ込んだり、シュレックがくっさいゲップをしたり、とにかく製作者たちがこれまでの何かしらの業界的呪縛から解き放たれたかのように自由な発想で遠慮なしに作っているところがたまらなく面白かったです. こういうのは日本では考えられないことですよ. ハリウッドというある意味自由な環境が羨ましいです. ただ日本語吹替版になるとなぜシュレックが関西弁になるのかがよくわかりませんね. 関西のおっちゃんにくっさいゲップをするイメージが強いからかな? なら、そりゃ偏見ですよ! 深夜らじお@の映画館 はこういうタイプの映画が大好きです.